『老人の専門医療を考える会』は、老人医療の専門家集団として未来に対する高い理想を堅持し、老人医療のあるべき姿を追い求め続けています。国民にとっても老人医療はより身近な問題として認識される中で、確実に老人医療は変化しています。対人的なサービス業としての自覚、個々の老人にふさわしい医療の模索、地域ネットワーク機能との連携などの実践が各地で行われ、利用者の信頼と支持を得つつあります。当老人の専門医療を考える会は、老人医療に携わる当事者の責任ある会として、今後も継続して現場によりよい刺激を与えるとともに、広く一般の皆様にも、老人医療に対し、ご理解と、忌憚のないご意見を頂戴してまいりたいと考えております。
今回の第31回全国シンポジウムでは、「老人医療と救急医療」をテーマに取り上げました。現在の医療崩壊を象徴するものとして、少子化社会を背景に妊産婦や小児の救急受け入れが困難であることが挙げられています。一方で、超高齢社会を目前にして高齢者の救急搬送は年々増加してきております。しかしながら、高齢者の救急医療の実態は老人医療に携わる私たちも含めて意外と知られていないのではないでしょうか。老人医療イコール慢性期医療でないことは当会の医師ワークショップで確認されました。私たちは質の良いリハビリテーションや慢性期医療サービスの提供体制が整ってこそ、高齢者の急性期医療が成り立ち、そのことが高齢者の安心につながると考えています。当会の第15回シンポジウムで高齢者の終末期医療(尊厳死を考える)との関連でシンポジストに救命救急センターの医師をお招きしたことがありました。そのときにも、癌の末期でかかりつけ医が居ながらなぜ119番なのかという課題が挙げられました。
国は、「高齢者の医療・介護は在宅で」の方針を打ち出しています。眼前に迫った超高齢社会を見据えた、高齢者の医療・介護を再構築するべき時期にさしかかっている今、高齢者の救急医療の現状を知り、老人医療や老人介護をどのような形にすれば国民の安心と満足につながるのかを考えてみたいと思います。
本シンポジウムは、高齢者救急医療の現場からの現状報告を通して、老人医療に携わる者が今後なすべきことを地域連携からの視点も含めて討論する場になることを期待して開催したいと思います。
老人の専門医療を考える会
会 長 平井基陽
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