老人医療NEWS第29号 |
昭和50年代後半からの社会保障改革に大きな影響を及ぼしたのは、当面の財政再建を超えて、中長期にわたって国民負担率の増大を抑制しなければならない、とする第二臨調答申(昭和57年)であった。この臨調路線は、引き続き政府の基本方針となっており、臨調に続く新行革審の答申(平成2年)は、ピーク時の国民負担率を50%以下にすることとしている。
国民負担率とは、租税負担と社会保険料負担の合計額の国民所得に対する比率であるが、ヨーロッパ主要国は50%を超え、スウェーデンでは72%に達している。
我が国の場合、今後、高齢化の急速な進展に伴って、負担率の相当な上昇は避けがたい。老人比率は今は13%と低いが、ピーク時には27%(平成3年暫定推計)になり、現在のヨーロッパ諸国をはるかに上回る。このような高齢化のもとでは、国民生活の安定を図るという社会保障の目的を放棄しない限り、現在すでにほぼ40%に達している国民負担率を50%以下にとどめることは困難であり、社会保障の効率化の限度を超えているように思う。
国民負担率が問題になるのは、負担増が経済活力や勤労意欲を阻害するという概念(神話)があるからである。だが、両者の因果関係は国際的にも実証されていない(例えば、宮島洋『高齢化時代の社会経済額』岩波書店、平成4年)。
このことは、わが国についても明らかである。国民負担率は、昭和50年度の25.8%から平成2年度には39.5%となり、過去15年間に13.7%ポイントも上昇した。また、厚生年金の保険料率をみても、昭和35年の3.5%から現在の14.5%へ、実に4倍にもなった。だが、こうした負担増が経済の停滞を招いたとか、勤労意欲を低下させたなどということは、実感としても感じられない。
むしろ、この間の社会保障の拡充による国民生活の安定化こそ注目すべきである。高齢化社会を安定した成熟社会とするためにも、社会保障による生活の安定化が不可欠の条件なのである。時代の変化に対応して絶えず社会保障を見直し、効率的な運営を追及しなければならないが、負担の抑制そのものを目標にすべきではない。
医療も同様である。良質の医療の効率的供給という政策目標は当然のこととしても、それを「医療費を国民所得の伸びの範囲内にとどめる」ことに置き換えてはならない。
折りたたむ...三条市は新潟市と長岡市の中間に位置しており、五十嵐川が信濃川に注ぐ所に開けた町である。古くは城下町として栄えていたが、寛永19年に城が取り壊されてからさびれ、かわって信濃川の舟運を利用した物資の集散地として商業が盛んになった。「金物の三条」として全国に知られるようになり、現在では人口86000人を超える県央の中心都市へと発展している。
病院開設まで
医療法人橘光葉会三条東病院は平成2年4月2日に100床の病院として開院した。母体は私の義父にあたる理事長の橘純一が昭和35年から三条市内で開業していた有床の内科医院であり、長年同市の地域医療に携わっていたが、高齢化社会が急速に進行するなかで、医院レベルでは殺到する高齢者の入院患者に対応することが困難となったことから、地域社会への恩返しとこれからの老人医療の在り方を考えて老人の専門病院の開設にふみきった。
開設の計画当時、医療界は冬の時代と呼ばれており、医療雑誌では病院倒産の記事が盛んに報道されている最中であった。そんな記事を読み、計画してからも何度か断念しようと考えたが、幸いにも周囲の方々からのお力添えと理事長の熱意に支えられ、無事開設するに至った。三条市内では初めての老人専門病院ということで各方面から何かと注目されたが幸いスタッフにも恵まれ半年も待たずに満床となった。
心のかよった全人的老人医療をめざして
理事長の長年にわたる地域医療経験からも、高齢者の治療には身体疾患の治療だけでなく、心の病にも取り組むことが不可欠であると考え、「心のかよった全人的な医療」を目標として、精神神経科の専門医を数名常勤医として招いた。開設時から老人の専門病院を目指していたが、結果的には、開院後5ヶ月で特例許可老人病院の指定を受け、7ヶ月後には入院管理料T(100床)を取得するに至った。
また、地域における在宅ケアの要望に答えるべく、平成3年には専従の3名の看護婦から構成される訪問看護部を設立し、訪問看護を実践している。
平成4年8月には地域医療計画の見直しにともない20床の増床許可を得、現在は120床の特例許可老人病院となっている。外来部門では年々患者さんが増え、お年寄りから子供さんまで受診するようになり、地域のホームドクター的役割を担っている。
ハード面では必然的に長期化するお年寄りの入院に備え、居住性を考慮し、病室は全室南向きで可能な限り窓を大きくとり、採光を充分に取り入れている。また、廊下幅を広くして回廊式の廊下とし、痴呆の患者さんの運動場にもなっている。寝たきりを防ぎ、自力排尿を促すために各病室に身障者用のトイレを設置し、また、リハビリ室にも畳敷きを用意し好評を得ている。医療面では急性期の疾患にも対応できるように全身CTスキャンなどの医療機器を設備している。
開設後3年を経過して
病院とは病気を治療する場所である。これはきわめて常識的な文章であるが、急性期の治療が終了し、積極的な治療の必要性がなくなった患者さんが入院してくる介護力強化病院に対してはこの文章はストレートには当てはまらない。
老人病院に不慣れな医師も看護婦も患者が入院してくると盛んに身体疾患を探し、治療をしようと考える。食事介助やオムツ交換よりも変化のない血圧測定、検温、カルテ記録を優先する。ミーティングで日常的な生活の介助をし、ベッドから離し、退屈させないようにすることが治療であると説明しても職員は首をひねる。「わたしは病院だと思って就職しました。辞めさせて下さい」と、数名の看護婦が開設後まもなく病院を去っていった。憤慨したことも多かったが、現在では各病棟から大きな歌声が聞こえ、すごろく遊びやら車椅子バレーボール、切り絵に工作など楽しそうな風景が見られるようになった。
入院医療管理料の導入については、大規模病院なら吸収できるかもしれないが、120床程度の病院では薬剤費率は重要な収支ポイントである。医師に対して治療を制限することは医師としての本質を著しく損なう。医師の指示表を恐る恐る覗いては何度も身震いをした経験がある。平成4年4月の診療報酬改定で身震の度合が多少軽くなったが、人件費率の上昇など、まだまだ頭の痛い日々が続きそうである。
厚生省は在宅医療を推進しており、当院でも訪問看護部を設立し活動を続けている。苦労に苦労を重ねて患者と家族を説得し、めでたく自宅退院となる。しかし、退院後の訪問診察で見た状況は、患者の枕元に無造作に置かれた古いバナナや食べかす、長時間交換されていないオムツ、大便がこびりついたお尻に赤くなった股間、つけっぱなしのテレビ等である。いったい在宅医療は成り立つのだろうか、週3〜4回の短時間訪問で我々に何ができるだろうか、と自問しながらも頑張っている。
このような状況の中で開設して3回目の秋を迎えようとしている。2年前に老人の専門医療を考える会に入会し、全国の老人医療に携わる方々から素直なご意見を伺い大変勉強になるとともに心強く思っている。
今後も目まぐるしく変化するであろう老人医療界に柔軟に対応し、職員が一丸となって、地域の人達に信頼される老人の専門病院作りを目指して頑張っていく所存である。
折りたたむ...老年医療で避けて通れない障害の一つに嚥下障害がある。
嚥下機序は、通常三相よりなる。第一相では、舌咽神経による随意運動により、口腔内に入った摂取物は咀嚼され咽頭へ送られる。第二相では、咽頭粘膜に広く分布した知覚神経が摂取物により刺激され、主に延髄の嚥下中枢の反射で口腔・鼻腔および喉頭と咽頭は遮断され、食道入口部に摂取物が落下し、咽喉頭筋の収縮・弛緩の反復による蠕動が続く。第三相では、食道の蠕動運動および重力により、摂取物は胃の噴門へと送られる。
第一相は随意運動であり一般には問題とされないが、ご存知のように痴呆や老人性精神障害等において、この相の障害による嚥下障害も稀ではない。
嚥下障害は、A口腔・咽頭性と、B食道性にも大別される。老年医療の臨床では、Aの障害のうち特に第二相の障害が主体の中枢神経疾患、すなわち球麻痺、仮性球麻痺、パーキンソン症候群などが多いような印象をうける。ただし、第三相の障害となる食道癌、アカラシア、大動脈瘤。縦隔腫瘍等の精密検査除外も怠ってはならない。
いずれにしろ嚥下障害が出現すると、その原因の精密検査とともにハイリスクの高齢者という視点から、当面の対症療法として中心静脈栄養、鼻腔栄養が漸次選択されるのが一般的のようであり、当院でも適時に実施している。原因疾患にもよるが、急性期を過ぎれば可能な限り各種の方法を用いて、経口摂取の試みを日常的に実施している。
しかし、誤嚥性肺炎を反復し、気管切開が必要な程で胃に異常がない場合や、鼻腔栄養から開放されADLの向上を図りたい場合などに、試してみたい方法の一つが、経皮内視鏡的胃瘻造設術である。以下に大略を述べてみたい。
術者は内視鏡の操作に熟練した術者と、小切開可能な術者がいれば十分である。施行場所は内視鏡室、病室等でも可能である。前処置は鎮静剤、鎮痛剤や局所麻酔を必要に応じて用いる。術直前に胃蠕動運動を完全に抑制する目的でグルカゴンを二分の一X〜一X静注。用意する材料は、通常の切開セット、メス、注射器、手術用手袋、市販の胃瘻造設用キット、局所麻酔薬、皮膚消毒薬および内視鏡一式程度である。
術式の概略は次の通りである。
地域における老人の専門医療
8月2日、東京大手町にあるサンケイ会館において、老人の専門医療を考える会第9回全国シンポジウムが開催された。毎回の統一テーマ「どうする老人医療これからの老人病院」に加え、今年はサブテーマを「地域における老人の専門医療」とし、老人病院の立場からだけではなく、診療所との連携からどう在宅ケアに取組んでいけばよいか、が3名のシンポジストから提言された。会場には約250名が全国から集まり、国立医療・病院管理研究所医療経済研究部長 小山秀夫氏を司会に討議がすすめられた。
主催者挨拶では、大塚宣夫副会長から老人医療の体制づくりには、今や総力をもってあたる時であり、すべての力をあわせ一つの方向づけをしていきたい、と述べられた。以下に各シンポジストの提言要旨を記す。
有床診療所による高齢者の地域リハビリ活動
青木内科小児科医院 理事長・院長 青木佳之
現在の医療をとりまく状況は、人口構成の高齢化、医療費の高騰、専門医化、臓器別化の進行、医療の施設産業化と人間疎外化、疾病構造の変化、生活からの乖離化、要介護老人の増加、等、多くの問題を抱えている。これらの問題への対応として、WHOを中心に考えられてきたのがプライマリ・ヘルス・ケアである。
プライマリ・ヘルス・ケアとは初期診療という狭義ではなく、生活レベルでの対応、継続的な対応、保健・医療・福祉を包括した対応を行い、住民参加も含めたものである。 開業医の特性として、在宅、地域など生活に密着していることから、プライマリ・ケアの役割を担い、保健・医療・福祉の連携のコーディネーター役を果たしていかなければならないと考えている。
ここで、診療所が地域でどのような活動をしているかを紹介したい。
私の診療所は岡山市に7年前に開設、3年後19床の有床診療所に増築し、入院、リハビリ活動を開始。一階には老人デイ・ケア室、作業療法室等、2階が病室、3階が有病児ケア室、ADLの和室2室、人間ドック用個室とした。スタッフは現在47名で活動している。
老人デイ・ケアには、一階に作業療法室と兼用している115平米のスペースと、3階の和室をADLの改善のために利用している。スタッフは、ボランティアを含め23名で対応している。定員50名、70歳台を中心に来院している。送迎は当院によるものが59%、家族によるものが23%を占めている。
今年5月には、岡山市より委託された「あいの里在宅支援センター」がスタート、介護用品機器関係の相談等を受けている。今後の予定として、今月には訪問看護ステーションの開設、来年には「あいの里クリニック(無床)」「あいの里リハビリ苑(老人保健施設)」の開設を予定している。
また、有病児ケアということで、共働き家庭の子供が病気になったときに、外来診療の延長としてお世話するという活動もしており、これは月に60〜80件の利用を数えている。 以上、プライマリ・ヘルス・ケアの理念に基づいた実践活動に重点を置き、保健・医療・福祉を統合した活動形態をとるように取り組んでいる。
地域リハビリをすすめるには、施設ケア、通所ケア、在宅ケアを有機的に組み合せ、他施設との連携を図っていくことがポイントとなろう。よりよく生きる、という視点からもう一度医療を見直し、医療スタッフのみならず地域レベルでどのように老人医療に関わることができるかを考えていくことが、今後、地域に根ざした活動を展開するために必要となるだろう。
地域医療と在宅ケア
厚生省保険局医療課長 小野昭雄
現在の世帯の動向は、核家族化が進み、一世帯あたりの人員数は急激に減少し、1990年には3人以下の世帯が約6割を占めるようになった。75歳以上の後期高齢者が増加し、医療費の上昇や痴呆の発症頻度も高くなっている。
地域環境をみれば、都市部においては、施設面では医療機関や老人ホームの不足、生活面では駅等の階段が克服できなくなると、瞬時に行動範囲が限られてくる。都市における高齢者問題は、単にケアの問題だけではなく、都市構造まで考えなければならない。
また、郡部では都市に比べれば子供との同居も多いことから、準同居や近所に焦点をあてた在宅ケアの方向を考えていかなければならないだろう。
在宅ケアを行うには、訪問診療と訪問看護が前提条件となってくるが、訪問看護を実施している病院数は増加傾向にあり、平成2年で約4分の1の病院が訪問看護を行っている。しかし、診療所の往診回数は逆に減少してきているため、今後の老人医療を考える際には診療所を巻き込んだ議論が必要となってくるだろう。
看護婦不足等、マンパワーの問題もあるが、行政の側としては診療報酬面から在宅ケア推進のバックアップをしていかなければならないと思っている。
在宅ケアのシステムを築く基盤として、行政、医療関係者、福祉関係者の三者の共通認識が求められる。そのためには、まず地域におけるニーズの把握を継続的に行っていかなければならないが、人間の欲求は限りがないことも頭にとめておかなければならない。次に、地域における資源の把握である。在宅ケアに取り組んでいる施設数や動員数、その能力を把握し、現在のニーズにどの程度対応できているのか、できていないならばどこを伸ばしていけばよいか、を判断していく。また、サービスは単独個々で行われると、大きな無駄が生じるため、医療関係者と福祉関係者の協調と、情報のシステム化を図っていかなければならない。
市町村における老人保健事業で訪問リハビリも実施されているが、成果は思う程ではなく、今後の見通しも必要となろう。
コミュニティ・ケアにおける老人病院の課題
老人の専門医療を考える会会長 天本病院院長 天本宏
今日は、老人病院が一般病院や老人保健施設、特別養護老人ホームとどのように違った機能があるのか、を見直してみたい。
始めに、天本病院の職員がつくった「老人病院10カ条」を紹介したい。
上が10カ条であるが、入院、入所者をみた場合、必ずしも重度の人が施設にいるのではないことがわかる。重度の痴呆や障害をもっていても在宅で頑張っている人もおり、このような家族に、これまでの在宅支援サービスがあまりなかったと思う。これからの在宅ケアは、早い段階から施設を利用し、家族に知識と技術を提供することによって、再度在宅へ、ということも必要であろう。
また、保険、医療、福祉、年金という社会保障に加え、住宅問題も考えていかなければ在宅はすすまない。「在宅ケア」には、「コミュニティ・ケア」「施設ケア」が必ず備わっていなければならない。
以上、3名のシンポジストの提言をふまえ、司会の小山秀夫氏は次のようにまとめられた。 北欧では、病室の居室化と、在宅の病室化は同時平行的に進められている。これまでは安易に入れ物を作り収容してきたのではないかと思うが、老人医療は1日でも長く住み慣れた場所で、ということを援助の目標にしなければならない。そのためには、往診と訪問看護、いつでも入院できる保障、という3つの条件がそろわなければならないだろう。
折りたたむ...平成4年9月26日、東京銀座ガスホールで、入院医療管理料導入病院連絡会の全国大会が開催された。この大会で、介護力強化病院連絡協議会が正式に発足し、初代会長に当会の天本宏会長が満場一致で選出された。新しい組織の船出だ。
特例許可老人病院入院医療管理料は、当会の長年の団結と運動のひとつの成果として平成2年4月に制度化されたものである。当会幹事会は、この制度導入とともに、制度の普及発展と制度導入による病院医療の質の確保向上を目的に真剣に検討を進め、連絡会を組織し、医療の質を担う医師のワークショップを重ねてきた。
その結果は、高齢者ケアの質の向上のため、老人にふさわしい設備の必要性、リハビリテーション職員、MSW等の配置、病院職員の研修教育の充実、入院時アセスメント機能の評価、入院医療管理料の大幅アップ、承認期間の短縮、四対一、五対一の介護職員に対して、三対一の新設が必要ということであった。
これらの主張は、厚生省当局に要望書として提出し、平成四年四月改定では、三対一の新設とアセスメント料の導入以外は、現実のものとなった。
診療報酬の大幅アップは、老人医療の正しい方向性を正確に理解し、制度として計画し、普及のために実行する優秀な厚生省スタッフによって成し遂げられたが、当会の活動や日本医師会の理解がなければ実現しなかったことも事実である。
しかし、介護力強化病院については、大別して二側面のいわれなき批判が存在してきた。一つは、介護力強化病院の経営を「もうけすぎ」というものである。これに対しては、人件費に占める割合が多く、いわゆる自然増がなく、介護職員の給与が老人ホーム職員と比較して著しく低いという問題がある。また、「もうけすぎ」になる最大の理由は、投薬、注射、検査の減少によるものであるが「必要な医療を行っていない」わけでは決してない。仮に必要な医療を行わなければ、病院の存在自体が問われることになる。
もう一つの批判は「軽い患者ばかりで、重症者をことわっている」というものである。この意味は、多分、重介護者をことわる、重症者をことわる、重症になったら転院させる、という三つのことがひとつになっているように思う。重介護者をことわるといっても、手間がかかる問題行動を有する老年痴呆患者や、ADLが著しく低く、日常生活の全面に介助が必要な患者を積極的にことわれば、他病院からの紹介患者が減少し、経営できなくなってしまうことが理解されていない。
しかし、重症者となると問題は別である。例えば、気管切開後の患者をとらないのがけしからんというのであれば、病棟の看護、介護体制が不十分だからといわざるをえない。
最後の重症になったら転院というのは、医師のモラルと技術、病院の姿勢と機能の問題である。当会では、重症化しても院内で対応することを原則としている。
これらの各種の批判があるが、それぞれの批判に、ていねいにかつ科学的に回答することが必要である。われわれの目的は、老人医療の質の向上と病院経営の安定化である以上、ささいな批判にも真剣に対応し、一人でも多くの人々に理解してもらうよう努めることが肝要である。
ただし、このことは、介護力強化病院の問題であり、老人医療全体の一部でしかない。この意味では、当会とは別組織で対応することが求められる。
老人の専門医療を考える会は、来年で設立十周年を迎える。十年一昔というが、決して平坦ではなかった道程を考えれば、老人専門医療の確立には、あと十年は必要かもしれない。成功のカギを握るのは、当会会員の団結と情熱、そして実行力だ。
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