新刊案内
平成16年12月
『新版 老人病院機能評価マニュアル』

 老人医療の改革をめざす医師が集まり、「老人の専門医療を考える会」が結成されたのは1983年であった。当時は、1973年から導入され、その後10年間続いた老人医療費支給制度(老人医療費の無料化)を背景に、行き場を失った多数の要介護老人が、老人病院に収容されていた。一方で、老人病院は受け入れた高齢者を寝かせきりにして床ずれをつくり、"薬づけ、検査づけ、注射づけ"で稼ぐ悪徳病院としてのイメージがすっかり社会に定着していた時代でもあった。

 老人医療の質の向上と老人医療の専門性の確立を合言葉に、当会は結成以来、わが国における老人病院の果たすべき役割、望ましい形を模索してきた。実際の活動としては、今日まで26回のシンポジウムを通じての一般国民への老人医療が抱える問題の啓発、欧米やオーストラリアへの海外視察研修、現場から行政への提言などである

 1987年、本会は活動の成果の一つとして、日本医師会の「病院機能評価表」をもとに、「明るい老人医療、老人専門病院機能評価表」を作成し、老人病院の果たすべき役割や、望ましい対応についての指針を世に問うに至った。「老人の専門医療を考える会」の会員はこの評価表に基づいて、自らを評価し、また、本会への入会希望病院には、この評価表で一定の水準にあることが求められた。

 1990年の診療報酬改訂で、特例許可老人病院入院医療管理料(介護力強化病院)が導入され、老人病院の形を大きく変えることとなった。現場からはより具体的かつ段階的な評価基準を求める声がある一方、利用者からも老人病院選びに役立つようなガイドブック的なものがほしいとの声もあり、これらに応える意味も込めて1993年、「老人病院機能評価表」を全面改訂し、新たに「老人病院機能評価マニュアル」が作成された。

 1993年度より毎年、このマニュアルを使い、当会ならびに日本療養病床協会の会員を対象とした調査が実施されてきた。1994年度以降、原則として前年度の調査結果と調査参加者から寄せられる意見や提案をもとに項目の入れ替え、評価基準の見直しが行われ、今日に至っている。1995年度から、機能評価表に加え、「病院調査表」と「職員意識調査表」を追加し、調査に参加した病院の全体像を明らかにすることができる仕組みになった。この事業の成果の一つとして、昨年は2002年度の調査結果をまとめ「日本の老人病院」と題する小冊子を当会より出版し、老人医療の質の向上に高い志を持つ病院の現状を公表した。

 1997年には「老人病院機能評価マニュアル」の第3回目の改訂を行ったが、2000年の介護保険制度の創設、2001年の第4次医療法改正による療養病床の出現により、老人病院にも大きな変化が迫られていることから、このたび、第4回目の改訂版を出すことになった。第三者による機能評価に属する日本医療評価機構の認定やISO9001の取得を目指す病院が増えつつある中、自己評価ではあるが、当会の「老人病院機能評価」はそれらと基本的に異なり、自分たちの病院の位置づけや毎年の改善結果を知ることができるとの声も大きい。

 当会としては今後も独自の形でこの事業を発展させ、わが国の老人医療の普及啓発、老人医療の質の向上に貢献したいと考えている。
 内容的にはきわめて未熟であるが、多方面からのご指導、ご叱正、ご意見を賜れば幸甚である。

 平成16年12月

老人の専門医療を考える会
会長 平井基陽

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老人の専門医療を考える会 JAPAN ASSOCIATION FOR IMPROVING GERIATRIC MEDICINE